クリンチェック解説② 20歳女性
クリンチェック解説② 20歳女性
クリンチェックの解説です。
患者様は20歳の女性です。
上の歯の歯並びが気になるということでマウスピース矯正を希望されました。
まずは口腔内写真を見ていきましょう。
口腔内写真
上顎の右側中切歯(左の一番前の歯)が口蓋側(内側)に転移しています。
右上の側切歯(向かって左の前から2本目の歯)が捻転(捻じれている)しています。
また、左上の側切歯(向かって右側の前から2本目)が口蓋側に転移しており、
その影響で左側中切歯(真ん中の向かって右側の一番前)が捻転しています。
クリンチェック解説①の症例と似たようなケースとなっています。
一方で下顎の歯並びは比較的きれいです。
上顎の歯列弓と歯の長さの不調和による叢生状態です。
また側切歯(前から2本目の歯)が大きく、歯列弓との不調和が生じやすくなっています。
最近ではこのような方が多く、顎は比較的小さいのに歯が大きくて歯並びが悪くなっているケースが多く見られます。
上顎の歯列不正を解消するためには
「歯を小さくする」
処置が必要です。
IRP(Interproximal Reduction)を行い、歯の大きさを調整することと歯を動かすスペースを確保する必要があります。
「IPR」とは
隣接面(歯と歯の間)をやすりやダイヤモンドポイントで0.1~0.5mmほど削る処置です。
ケースアセスメントを確認します。
ケースアセスメント
上顎の叢生治療の難易度は高めとなっています。
右側側切歯(向かって左側の前から2本目)がかなり捻転しています。
この捻転が本来の歯の位置から45度以上捻じれている場合はマウスピース矯正での治療難易度が高くなります。
この症例では比較的難易度の高いと言えます。
それではクリンチェックの結果を見ていきましょう。
クリンチェック
上顎はスペースを確保するためにIPRを行います。
IPRの量は0.3mmが5か所、0.4mmが2か所で、総合計は2.3mmです。
この2.3mmのスペースを利用して歯を動かします。
上顎の叢生もきれいに治っています。
また、右上側切歯の捻転も改善されています。
ただし、左上の第2小臼歯は歯列内に入り切ってはいません。
本症例では前歯部の歯並びの改善を最優先して計画を立てており、
小臼歯の歯並びを完全に改善することまではできませんでした。
「インビザラインGO」では矯正できる量に限界があるため、このようなプランになっています。
大臼歯を動かすことができる「インビザライン」であればさらに歯列を改善することが可能です。
患者様はインビザラインGOでのプランで満足されたので、このプランで矯正治療を開始することしました。
矯正期間は15ステージです。
期間は約6か月です。
最初の数ステップは各ステージ2週間ほどの装着期間で、その後は10日前後でのマウスピースを交換していきます。