口腔内スキャナーを利用した矯正治療計画立案の有効性について
2020年 日本歯科審美学会で発表を行いました。
コロナ禍の影響でオンラインでの開催になりましたが、「PE-18」にで発表を行いました。
発表内容は以下です。
(一部改変しております)
口腔内スキャナーを利用した矯正治療計画立案の有効性について
Effectiveness of Orthodontic Treatment Planning Using Intraoral Scanner
〇大前正範 1 )、 竹内 摂 2) 、 初岡昌憲 2) 、 岩田有弘 2) 、 山本一世 2)
〇Omae Masanori 1), Takeuchi Osamu 2) , Hatsuoka Masanori 2), Iwata Naohiro 2) , Yamamoto Kazuyo 2)
1)北歯科医院 2 )、大阪歯科大学 歯科保存学講座
1)KitaDetal Clinic 2 )、Department of Operative Dentistry, Osaka Dental University
[目的]
近年、口腔内スキャナを利用した矯正治療が行われている.口腔内スキャナを用いることで、コンピューターソフト上で矯正治療の計画が立てることが可能となった.
今回は比較的軽度の叢生を主訴をとする患者に術前の矯正シミュレーションを行いマウスピース矯正を行った症例を報告する.
[方法]
口腔内スキャナにはiTero( Align 社)を使用した.臼歯部の咬合は AngleⅠ 級で、前歯に軽度の叢生が認めれらる症例について検討を行った.
矯正治療にはインビザラインGO (Align 社)のシステムを利用した.
口腔内スキャナで歯牙のスキャンおよび咬合を採得後、 outcome simulator で矯正後の歯列状態のシュミレーションを行った.その後、クリンチェックを行い矯正治療計画を立案した.
矯正治療終了後、iTero にて歯牙のスキャンを行い矯正治療終了後の状態を記録した.
なお、いずれの症例においても追加アライナーは使用しなかった.
[症例1]
患者:25歳
女性
前歯部叢生を主訴に来院
既往歴に特記事項なし
ケースアセスメント
治療経過
[症例2]
患者:26歳
女性
前歯部叢生を主訴に来院
既往歴に特記事項なし
ケースアセスメント
治療経過
[考察]
両症例ともにoutcome simulator とクリンチェックは同程度の矯正治療の結果を予測した.
また、インビザライン GOでの矯正治療後はクリンチェックで示された矯正治療計画とほぼ同じ結果となった.
本症例ではケースアセスメントの判定において矯正治療の難易度が比較的軽度の症例であった、さらにインビザライン GO では大臼歯の移動は行わない.
そのため、矯正治療の難易度も低く、 outcome simulator とクリンチェックの矯正治療計画に大きな差異が生じなかったと考えれる.
Outcome simulatorはiTero で口腔内スキャン後に数分で矯正治療のシュミレーションが可能である。そのため、矯正治療における治療計画立案に有効であると考えられる.
*本演題に関連し、演者らに開示すべきCOIはありません.
発表内容は以上です。
インビザラインコンヘリシブパッケージ(インビザラインフル)でもiTeroによる outcome simulatorで矯正シュミレーションは可能です。
インビザラインコンヘリシブパッケージは大臼歯の移動も可能で幅広い症例に対応することができます。
噛み合わせの基準となる大臼歯が動かせるため、矯正治療計画が複雑となり、outcome simulator での矯正シミュレーションは参考になりません。
その後のクリンチェックと呼ばれる矯正治療計画を歯科医師が立案する必要があります。
また、マウスピースの数に制限はありません。
一方で、インビザラインGOは大臼歯を動かすことはできません。歯を動かす距離にも制限があり、マウスピースは20ステップまでと制限されています。
そのため、outcome simulator での矯正シュミレーションも予測性が高くなります。
インビザラインGOは第2小臼歯までの上下20本だけの制限もの多いマウスピース矯正システムですが、適応する症例では非常に信頼性の高い矯正治療です。