インビザラインGOでどこまでできるか? その2
インビザラインGOでどこまでできるか? その2
今回もインビザラインGOでどこまでできるかをお示しします。
インビザラインGOはマウスピースをはめることで歯を動きます。
弾力性のある素材で歯を包み込み動かしていきます。そのため、ワイヤー矯正に比べて歯を動かしにくい状況もあります。
それは
① 矮小歯
矮小歯と呼ばれる小さな歯です。
特に上顎側切歯(前から2番目の歯です)です。
通常の歯は根本が細く、先端の幅が広くなっています。
ところが矮小歯はその名の通り、歯が矮小化しており先細りになっています。
そのため、マウスピースをはめてもうまく矯正力が伝わらず動きにくい傾向があります。
ワイヤー矯正の場合はブラケットと言われる器具を歯に貼り付けているのでこの心配はありません。
マウスピース矯正の場合、うまく矯正力を伝えるためにアタッチメント付与するなどの工夫が必要です。
② 捻転の大きな歯
捻転歯とは歯の向きが捻じれている状態です。
顎が小さく歯が並びきれないため、叢生(歯が重なりあった状態)や捻転状態になり歯並びが悪くなります。
叢生の場合、歯の向きはそれほど捻じれていないのでそれほど難易度は高くありません。
捻転の場合は軽度の場合はそれほど問題はありませんが、角度が45度以上も捻じれている場合は非常に困難となります。
しのため捻転歯を動かし、正常な歯列にするには時間がかかります。
これらの矮小歯や捻転には側切歯によく見られます。
矯正期間が20ステージに限定されているインビザラインGOには不向きなケースです。
では、実際のシュミレーションを見てみましょう。
まずはiTeroによるOutcome Simulatorによるシュミレーションです。
上顎の側切歯の歯列不正が矯正され、かなり歯列が改善されています。
ただし、右側側切歯(画面向かって左側の前から2本目)の捻転は完全には解消されていません。
このOutcome Simulatorのシュミレーションは当院では無料で行っております。
次に、クリンチェックの結果を見ていきましょう。
矯正期間が15ステージで、15~30週間つまり4~8か月です。
Outcome Simulatorとほぼ似たような結果となりました。
クリンチェックのほうが上顎前歯をやや後方に入れることが出来ています。
しかしながら右側側切歯の捻転は完全には解消されていません。
正常な歯の向きに比べ45度以上捻じれており、インビザラインGOではこれ以上の矯正は適応範囲を超えてしまいます。
そのため、この側切歯の捻転を改善するにはインビザラインフルやワイヤー矯正が必要になります。
そうなると費用面がさらにかかり、矯正期間も長くなります。
このようなケースでは患者さんとしっかりと話をしたい上で矯正治療の最終ゴールを決定する必要があります。
ご自身がどこまでを求めるかをしっかりと考えて矯正治療を始めるようにしましょう。