インプラントフレップレス手術
インプラントフラップレス手術
30代女性のケース
新たにオステムインプラントを導入して、最近ではほとんどオステム社のインプラントを使用しています。
アジア(韓国)のメーカーなので、アジア人向けに設計されていることや、精度の高いガイドシステムなど非常に使い勝手に優れています。また、フラップレス(歯肉を切らない)でのインプラント埋入も可能であり、患者さんにとっても非常に負担のすくない手術が可能です。
今回はオステムインプラントのガイドシステムを利用しフラップレス(歯肉を切らない)でインプラントを埋入したケースをご紹介します。
30代女性で、もともと永久歯が先天的に欠損(生まれつき歯が無い)患者様です。乳歯をずっと保存しておりましたが、ついにもたなくなり抜歯してインプラントで歯を入れることにしました。
抜歯後、骨の治癒を待ちます。
CTを撮影してインプラントができるだけでの骨があるかないかを確認します、
その後、コンビューターソフトを用いてインプラントを埋め込む場所を決めます。
こちらがインプラントガイドの設計です。
設計では骨の中央部にインプラントを入れるように設計されています。
また、埋め込む深さですが骨の高さが若干足りない可能性があり、上顎洞底挙上術(ソケットリフト)も計画しました。
上顎洞とは
鼻の奥にある空洞(副鼻腔で最大の大きさの空洞)
上顎洞底挙上術とは
https://www.implant.ac/knowledge/article/211/
インプラント埋入するにあたり、上顎洞の底部をあげてインプラントが入る隙間を確保する手術
側方からアプローチして広範囲に挙上する方法(サイナスリフトやラテラルアプローチと呼ばれる)と、垂直的にアプローチしてインプラントを埋入する部分だけを限局的に挙上する方法(ソケットリフトやバーチカルアプローチ、クレスタルアプローチと呼ばれる)があります。
ソフト上でインプラントを埋め込む深さや位置を決めた後、サージカルガイドを作成します。
ガイドは3Dプリンターで製作されます。
このガイドを口腔内に装着し専用のドリルを用いて穴をあける事で、コンピューターソフト上で計画した位置にインプラント入れる穴をあけることができます。
今回のケースは歯肉を切らずに、パンチで歯肉に穴をあけるだけで手術を行いました。即日でアバットメント(土台)を装着し、テンポラリークラウン(仮歯)の装着まで行いました。
要した時間は30分ほどでした。
歯肉を切っていないため縫合の必要もなく、抜糸ももちろん不要です。
術後のCT画像です。
予定通りの位置にインプラントが埋入されていることが確認できます。
本ケースでは骨の厚みが薄く、骨の高さも低いので1mmのズレも許容されないケースです。
精度の良いガイドシステムを利用することで歯肉を切らないでもここまで精密にインプラントを埋入することができます。
あらかじめガイドシステムを用いてインプラントを埋入する位置を決めておけるので、即日で土台をたてて仮歯を装着することも可能です。
もっとも、即時荷重はインプラントの初期固定力や噛み合わせなどを考慮して行う必要があります。
このようにガイドシステムの利用はインプラント治療に対して非常に有効です。