【歯科医が解説】歯の根っこが折れる!? 歯根破折の原因と対策まとめ
【歯科医が解説】歯の根っこが折れる!? 歯根破折の原因と対策まとめ
「歯は硬いからそう簡単に折れることなんてない…」
実はそれ、大きな誤解です。
目に見える歯冠(しかん)だけでなく、歯ぐきの中に埋まっている“歯の根=歯根”が折れるケースは意外と多くあります。
しかも、一度歯根が折れると“抜歯”しか選択肢がないケースも多いため、早期発見と予防が非常に重要です。
この記事では、
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歯根が折れる原因とは?
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どんな人に起こりやすいのか?
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破折のサインと症状
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歯根破折が起きたときの治療法
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折れないようにするための対策
を、歯科医の視点でわかりやすく解説していきます。
歯根破折(しこんはせつ)とは?
歯根破折とは、歯の根っこ部分にヒビが入ったり、完全に割れたりすることを指します。
多くの場合は目に見えない場所で起こるため、発見が遅れやすいのが特徴です。
特に、
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神経を取った歯(失活歯)
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被せ物(クラウン)をしている歯
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奥歯
などは、歯根が折れやすく注意が必要な部位です。
歯根が折れる主な原因
✅ 1. 神経を取った歯の脆弱化
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神経を取ると、歯の内部に血流や水分がなくなり、歯が乾燥して脆くなる
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強い力が加わると、内部からパキッと割れてしまうことがあります
📌 神経を取った歯の寿命は短くなりがち。補強や定期チェックが重要です。
✅ 2. 噛み合わせの強い力・食いしばり・歯ぎしり
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奥歯などには強い咬合力が加わるため、知らず知らずのうちに歯根に負担が蓄積
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歯ぎしり・くいしばりがある人は寝ている間に100kg以上の力が歯にかかることも!
✅ 3. 金属ポスト(メタルコア)による力の集中
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神経を取った歯に金属の土台(ポスト)を入れると、硬い素材が歯の内側から割れを生みやすくなる
→ 特に奥歯では「てこの原理」で破折を誘発することも
✅ 4. 外傷や事故による衝撃
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交通事故・スポーツ・転倒などによる強い外力で、歯根が折れることがあります
→ 歯冠(表面)に大きな損傷がない場合でも、根だけが折れているケースあり
歯根が折れたときの症状・サイン
症状 | 内容 |
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噛んだときに痛む | 折れた部分が微妙に動いて、神経や歯根膜を刺激して痛みが出ます |
何もしなくてもズキズキする | 折れた部位から細菌が侵入→炎症や膿が生じることで痛みが持続します |
歯ぐきにニキビのような膿の出口(フィステル)ができる | 折れた部分から細菌が出入りして、歯ぐきにトンネルができる状態 |
被せ物がグラグラする | 土台ごと折れている可能性あり。歯の根本から動く感じがあれば要注意 |
📌 初期は症状が軽く、見た目ではわかりにくいため、定期検診やCT撮影が早期発見のカギです。
歯根が折れた場合の治療法
✅ 抜歯(もっとも一般的な対応)
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多くの歯根破折は修復不可能なため、抜歯が基本となります
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抜歯後は以下のような補綴処置が検討されます:
┗ インプラント(審美性・機能性◎)
┗ ブリッジ(隣の歯を削って固定)
┗ 部分入れ歯(取り外し式)
✅ 破折が部分的であれば「歯根端切除」などで保存できる場合も
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ヒビの位置や程度によっては、外科的に割れた部分だけ除去して歯を残す選択肢もあります
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ただし、適応症例が限られており、事前のCT診断が必須です
歯根破折を防ぐためにできる5つの対策
✅ 1. 神経を取った歯は、早めに“被せ物”で補強する
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詰め物(インレー)のまま放置すると割れやすくなる
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被せ物(クラウン)で歯全体をカバーして補強することが大切
✅ 2. 金属コアを避けて「ファイバーコア」を選ぶ
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柔軟性のある**ファイバーコア(グラスファイバー製の土台)**は、
→ 歯の根と同程度のしなやかさで力を分散し、破折リスクを減らします
✅ 3. 噛み合わせ・歯ぎしりをチェックし、ナイトガードを活用
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就寝中の歯ぎしり・くいしばりは歯根に過度な力をかけます
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マウスピース(ナイトガード)で力を吸収・分散する対策が効果的
✅ 4. かぶせ物の高さ調整やメンテナンスを怠らない
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高すぎる・片側だけ強く当たるクラウンは破折の引き金に
→ 定期的に噛み合わせチェックを受けることが重要
✅ 5. 定期的な歯科検診とCTでの精密診断
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初期のヒビはレントゲンでは映らないことも多い
→ 必要に応じてCTスキャンやマイクロスコープでの診断が有効
よくある質問(Q&A)
Q. 歯根が折れても痛くないことはありますか?
→ はい。完全に折れても神経がすでにない歯であれば痛みを感じないこともあります。
→ ただし、時間とともに感染が広がり、膿や腫れの原因になります。
Q. 割れた歯を放置するとどうなりますか?
→ 周囲の骨や歯ぐきに炎症が広がり、最終的に隣の歯や骨の吸収にもつながる恐れがあります。
→ 早めの抜歯・治療が予後を左右します。
Q. 神経を取った歯を長持ちさせる方法は?
→ 上記の通り、クラウン+ファイバーコア+ナイトガード+定期検診の4点セットがおすすめです。
当院では“歯根破折リスクの管理”にも力を入れています
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✅ マイクロスコープ・CTによる高精度診断
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✅ 神経を取った歯に適切な補綴・コア設計を実施
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✅ 歯ぎしり・くいしばり対策のマウスピース治療
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✅ 予約制・土曜診療もあり通いやすい
まとめ|“見えないヒビ”が歯を失う原因になることも
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歯根破折は神経を取った歯や奥歯に起こりやすい深刻なトラブル
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痛みが軽くても、見逃すと抜歯につながることが多い
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定期検診・かぶせ物のメンテナンス・噛み合わせ管理で予防が可能
📣「以前治療した歯が噛むと違和感…」そんな方はご相談ください
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神経を取った歯がある
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被せ物がグラつく・押すと痛い
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噛むとピリッと痛みがある
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歯ぐきにニキビのような膿ができた
当院では、CT・マイクロスコープによる歯根破折の診断と再治療に対応しています。
LINE・WEB予約は24時間受付中!早めのご相談が“歯を守る一歩”につながります。